
基礎理論
フォントの選び方
書体は、デザインが発する「声色」である
同じ「ありがとうございます」という言葉でも、ささやくように言われるのと、元気よく叫ばれるのでは意味が変わります。デザインにおいてその「声色」の役割を果たすのがフォント(書体)です。
フォント選びを間違えると、高級レストランのメニューが居酒屋のように見えたり、信頼が命の士業のチラシが幼く見えたりしてしまいます。ターゲットの耳に届く「声」を正しく選ぶための、基本ルールを学びましょう。
二大書体とその心理的効果
明朝体(セリフ体)
上品・誠実・情緒的
横線が細く、縦線が太い。文字の端に「山(ウロコ)」があるのが特徴です。
印象: 高級感、伝統、信頼、大人っぽさ。
適した場面: 会社案内、ブランドロゴ、長い文章(小説など)。
効果: ささやくような上品な声、あるいは重厚な落ち着いた声として響きます。

ゴシック体(サンセリフ体)
力強い・現代的・親しみ
縦横の太さがほぼ一定で、ウロコがないシンプルな書体です。
印象: 親近感、元気、スピード感、モダン。
適した場面: チラシのキャッチコピー、Webサイト、看板。
効果: はっきりと聞き取りやすい声、あるいは親しみやすい日常の声として響きます。

フォント選びの3鉄則
「1つのデザインに使うフォントは、最大『3つ』まで」
可読性を最優先にする
デザイン性が高くても、読めなければ意味がありません。特に住所や電話番号などの重要な情報は、装飾の少ないシンプルなフォントを選びます。


ウェイト(太さ)で強弱をつける
フォントの種類を増やすのではなく、同じフォントの「太さ」を変えることで、グリッドシステムに沿った情報の優先順位を表現します。


ブランドコンセプトと同期させる
「安心感」を売りたいなら角が丸いフォント、「先進性」なら極細のゴシックなど、言葉と見た目の「声」を一致させます。


ワンポイントアドバイス
「迷ったら『標準』が最強です」
変わった形のフォントは、一瞬のインパクトはありますが、すぐに飽きられます。 プロが使うフォントの多くは、何十年も愛されている「標準的で美しい」形をしています。声で言えば、滑舌の良いアナウンサーのようなフォントこそが、ビジネスにおける「正解」です。
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